世相閻魔帳

顕正新聞のコラム「世相閻魔帳」

「再々登板」企み蠢動する安倍前首相

世相閻魔帳③「顕正新聞」令和3年5月15日号

 四月以降、害虫の孵化に符節を合わせるように安倍前首相が蠢動し始めている。
 ・四月八日、極右団体「日本会議」の母体とされる邪教生長の家」の教祖を信奉している「稲田朋美」が会長を務める自民党保守系グループの顧問に就任
 ・同月十二日、稲田が会長を務める原発の新増設を推進する議連の顧問に就任
 ・同月二十日、自民党憲法改正推進本部最高顧問に就任
 ・同月二十二日、日本会議の広告塔「櫻井よし子」と愉快な仲間達が群がった憲法に関するシンポジウムに出演。
 これらは全て、日本会議が安倍を首相に「再々登板」させるために、子飼いの議員や評論家に働きかけて実現したものと窺われる。日本会議と安倍はまさに運命共同体日本会議大阪の役員を務めた森友学園の元理事長・籠池泰典氏は、著書「国策不捜査」で次のように述べている。
 「日本会議は、安倍さんが1993年に政界デビューした当初から、『この男をかついで憲法改正を実現させる』と考えていた……日本会議系の人間にとって、この人は他の政治家とは違う存在なのだ」
 「(※日本会議憲法改正を)何とか安倍政権の間に実現しなければ、その先は最早、不可能だと考えている……日本会議にとって、組織の存亡を懸けた最後の戦いが始まっているのである」と。
 〝明治の国家神道を復活させて、日本を「神の国」にすること〟を目論む日本会議としては、安倍が非力な一議員のままでは困るのだろう。
 しかし、「モリ・カケ・桜・河井」事件等でペテン師ぶり、無責任ぶりを遺憾なく発揮し、「官邸の番犬」こと黒川元検事長が辞職した途端、責任追及されることをおそれ、仮病で政権を放棄し逃げ出した安倍に、再々登板の資格も能力もあるはずがない。以下、簡単に分析する。

政治家失格・人間失格

 安倍の最たる特徴は、息を吐くようにウソをつくペテン師ぶりにある。
 「加計疑惑」では責任逃れのウソに終始、「桜を見る会」問題では虚偽答弁を一一八回も行ったことが衆院調査局によって判明した。五輪招致のために、コントロール不能福島原発事故廃炉作業の実態等を知りながら、福島の状況は「アンダーコントロール」と大ウソをつき、世界を欺いたことも記憶に新しい。
 辞任理由とされる「潰瘍性大腸炎」も仮病だろう。病院の診断書は公表されておらず、医師の説明もない。大体、潰瘍性大腸炎の患者が、高級ステーキ店やフランス料理店で会食三昧の日々を送れるはずがない。実際、安倍は辞任会見の僅か十八日後、「新しい薬が効いている。もう大丈夫だ」とケロッと回答している。潰瘍性大腸炎が国指定の難病であることを知らないのだろうか。

 無責任さも目に余る。「森友事件」では、「私や妻が、もし小学校の設立や国有地払い下げに関与していたら、総理大臣はもとより国会議員も辞任する」と答弁、大見栄を切った。
 しかしその直後、財務省で公文書の改ざんが行われ、安倍と妻の昭恵、そして日本会議に関する記述等が削除された。この改ざん作業を強いられた近畿財務局の赤木氏は、自責の念に耐えかねて、不憫にも自殺してしまった。
 ところが、安倍は「答弁が改ざんのターニングポイントとは(赤木氏の)手記に書いていない」と平然と開き直る。財務省の調査報告書には、安倍の答弁が改ざんの発端となった旨が記載されているにもかかわらず、である。これほど無責任で冷酷な政治家は他に類をみない。

 人間性も幼稚でえげつない。「河井夫妻事件」の発端は、安倍が自身のことを批判した自民党議員を落選させる目的で、河井案里を刺客として送り込んだことにあるとされる。案里を絶対に当選させるため、安倍は自民党本部から一億五〇〇〇万円という巨額を案里陣営に投入、安倍と非常に近しい案里の夫・克行は、二九〇〇万円をバラまいて票の買収をする犯罪にまで手を染めた。

安倍の悪事を徹底糾弾

 以上、安倍のペテン師ぶり、無責任ぶり、人間性等について再確認したが、安倍が政治家として失格であることは勿論、人間としても失格であることは一目瞭然だろう。かかるペテン師を担いで「組織の存亡を懸けた最後の戦い」に臨む日本会議も、その程度が知れるというものである。

 何より許し難いことは、安倍と日本会議が、御本仏を無視して天照太神を本とする主客転倒の謗法を企てていることである。神と仏を取り違えれば日本が亡ぶ。
 安倍の再々登板など言語道断、国政への関与も許されるべきでない。安倍が二度と権力を獲得しないよう、その悪事を徹底的に糾弾する必要がある。(S)