世相閻魔帳

顕正新聞のコラム「世相閻魔帳」

図らずも露見した宗門「八十万体勢」の嘘八百

世相閻魔帳㉔「顕正新聞」令和4年1月5日号

 余りにもマヌケというか、お粗末すぎて言葉も出ない。
 今から一年前に早瀬日如管長がこれ見よがしに宣言した「八十万体勢」の大ウソのことだ。

「八十万体勢」の偽計

 早瀬日如管長は平成二十一年七月、「八十万体勢構築」をぶち上げた。御遺命を抛った宗門のことだから、広宣流布を見つめた道念が発露したものではなく、「宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年」にかこつけて、禿人らの食い扶持である信徒(法華講員)の「供養」を増やす魂胆だったことは論を俟たない。
 宗門の執行部は「八十万達成」が発表された昨年(令和三年)一月までの間、勧誘が遅れている住職のつるし上げは勿論、「御命題達成の御祈念」なる観念文をこしらえ
 「令和三年・宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年を期して、法華講員八十万人体勢構築を、名実ともに必ず成就なさしめ給え」
 と勤行のたびに全法華講員に祈らせる馬鹿げた通達を出したり、或いは、宗内全僧俗に対し一日二時間の唱題を百日間行なわせる「百日間唱題行」を強要したりと、涙ぐましいまでの無駄な努力をしてきた。
 しかし、最後の二年間は新型コロナの感染拡大により、もとより旗を振っても動かない法華講員による勧誘は目も当てられないほどの惨状を呈した。
 かくて「宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年」の令和三年一月を迎えたのだが、早瀬管長は
 「宗門は、去る平成二十一年七月、総本山に於ける七万五千名大結集の砌、『法華講員八十万人体勢構築』の誓願を立て、(中略)今回、見事に誓願を達成することが出来ましたことを心からお祝い申し上げます」(「大日蓮」令和三年一月号)
 「宗門は此の大佳節を迎えるに当たり、『法華講員八十万人体勢構築』の誓願を立てて、僧俗一致・異体同心して、勇猛果敢に折伏戦を展開してきた結果、日本国内寺院所属の法華講員の総計が八十万人を超え、見事誓願を達成することが出来ました」(「大白法」令和三年一月一日号)
 「宗門は法華講員八十万人体勢構築の誓願を立て、国内寺院所属の法華講支部が昼夜を分かたず、講中一結して勇猛果敢に折伏を展開した結果、見事に誓願を達成することができましたことを心からお祝い申し上げます。まことにおめでとうございました」(令和三年 元旦勤行の砌)
 と白々しくも得意気に「八十万達成」を宣言してみせた。無論、宗門僧俗の誰もがシラケ切っていたという。
 そこに今般、ある政府統計が公開されたことによって、「八十万体勢」なるものが嘘八百だったことが見事に証明されてしまったのだから、惨たらしい限りだ。
 以下、詳述する。

「八十万体勢」の〝大ウソ〟確定

 毎年、宗教法人の「信者数」等を調査している「文化庁」は、令和三年十二月十日、「宗教統計調査」(令和三年度版)を公開した。
 そこに記載された信者数は「令和二年十二月三十一日」現在の数字だから、早瀬管長の宣言どおりであれば、日蓮正宗の信者数の欄には「八十万人超」の数字が記載されていなければならなかった。
 ところが、である。日蓮正宗の信者数の欄には、なんと「78万2300(人)」と記載されているではないか。八十万人を約二万人も下回っている。
 これを宗門が文化庁に報告したのはいつかと言えば、早瀬管長が「八十万達成」を宣言した後なのだ。
 文化庁は令和三年一月二十八日付で、「宗教統計調査について(依頼)」と題する書面を各包括宗教団体代表者等に送付し、「令和二年十二月三十一日」現在の「信者数」等について五月十四日までに報告するよう求めていたのだ。
 要するに、早瀬管長は説法のたびに「八十万達成」を殊更に誇示する一方で、文化庁には〝信者数は八十万人未満です〟と報告していたのだから、どうかしている。
 まさか、「宗教統計調査」が世間に公表されることを知らなかったというならオメデタすぎる。いや、もしかしたら一分の心ある宗門の担当者が、宗門の余りのデタラメぶりに義憤を感じてコッソリ時限爆弾を仕掛けたのかもしれない。いずれにしても見事な自爆ぶりだ。

宗門の欺瞞体質

 さらに言えば、宗門が文化庁に報告した「78万2300(人)」という信者数すら大ウソである可能性が極めて高い。
 なぜなら、宗門の衰退ぶりは正月の初登山者数が激減していることを見れば火を見るよりも明らかであるし、文化庁が公開している毎年の統計等を丹念に拾ってみると、宗門の信者数の推移には幾つもの不自然な点が見受けられるからだ。
 例えば、宗門は、平成二十七年には年間で六万人も信者が増えたと報告しているが、翌平成二十八年には年間で僅か二千人しか信者が増えなかったと報告している。実に前年比97%減ということになるが、「水増し」して報告するのをうっかり忘れてしまったのだろうか。
 余談だが、早瀬管長は年間で僅か二千人しか信者が増えなかった翌年の元旦に
 「昨年、宗門は僧俗一致・異体同心の団結と弛まぬ努力によって、全国各講中折伏達成数を総計すると、見事目標を達成して、目出度く仏祖三宝尊に御報恩謝徳申し上げることが出来ました」(「大日蓮」平成二九年一月号)
 とヌケヌケと目標の達成を誇っているのだから常軌を逸している。
 また、平成十四年はなぜか信徒数が五千人も減っている。釈尊法華経を説かんとしたときに五千の増上慢が席を去ったごとく、まさか五千の法華講員が大量に脱講したのではなかろうから、これも理解に苦しむ数字である。
 宗門が文化庁に報告している信者数は、一事が万事こんな調子。鉛筆をなめながらテキトーに報告しているとしか言いようがない。
 極めつきは、「宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年慶祝記念局」なる部局が令和三年二月十五日に発した「本日までの最終集計の結果、日本国内全寺院・教会(支部)の所属信徒数が、八十三万七千八百余人となりました」との通達だ。
 宗門が文化庁に報告した令和二年十二月末時点で78万2300人だったことを前提にしても、令和二年に年間で1万1100人しか信者を増やせなかった宗門が、年が明けてから僅か四十五日間で5万5500余人も信者を増やした計算となってしまう。逆立ちしてもあり得ない話だ。どうせウソをつくなら、もう少しマシなウソを考えたほうがよい。

凋落の一途を辿る宗門

 「週刊ダイヤモンド」(2018年3月24日号)は、「信者数激減で苦しむ日蓮正宗」と題して、宗門の困窮ぶりを語る末寺住職の証言を紹介しながら、次の記事を掲載していた。
 「ある住職は『全国の末寺のうち、経営が安定しているのは3分の1程度。一方、寒村地区などにあって運営難の寺も3分の1程度ぐらいある。こうした厳しい末寺を救済するために、総本山は年間4億円近く使っている』という
 「懸命に布教を行っても信者数が大きく増えることは期待できない中、『今後、多くの末寺が危機的な状況に陥るだろう』(末寺住職)という懸念が広がっている」と。
 この記事が掲載されたのは今から約四年前、ゆえに現在では更なる困窮が進んでいることが窺われる。
 また先にも述べたが、正月の初登山者数を見ても、その減少傾向は顕著だ。早瀬管長が登座した直後の平成十八年では約二万七千人だったのが、その十五年後の令和二年では約一万七千人と、実に一万人も激減し三分の二以下になっている。
 浅井先生は早瀬管長がぶち上げた「八十万体勢」なるものについて
 「このようなことを言い出す前に、なぜ御遺命に背いた大罪を、大地に身を投げて大聖人様にお詫び申し上げないのか。この改悔なくしては、弘通など口にする資格もないではないか。所詮、学会も宗門も、大聖人様を忘れているのである。大聖人の御眼を恐れてない。これを無道心というのである」と痛烈に喝破されている。
 宗門は「オママゴトはやめて、ただ御遺命違背の大罪を大聖人様に謝し奉り、真摯に出なおさなければいけない」との先生の叱咤を重く受け止めなければいけない。
 さなくば「餓鬼道に堕つる」ことは必定である。(天皷)