世相閻魔帳

顕正新聞のコラム「世相閻魔帳」

学会・公明党に甚大な影響もたらす遠山問題

世相閻魔帳㉖「顕正新聞」令和4年1月25日号

 昨年十二月二十八日、東京地検特捜部は、公明党衆議院議員で元財務副大臣遠山清彦ら四名を貸金業法違反の罪で起訴した。
 遠山といえば、昨年一月、新型コロナウィルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が発令されている最中、銀座の高級クラブに深夜まで滞在していたことが発覚したほか、資金管理団体からキャバクラ代まで支出していたことも判明し、議員辞職した破廉恥漢だ。
 学会・公明党関係者は、創価高校創価大学卒という経歴を有する遠山を「公明党ホープ」「公明党のプリンス」「次世代のリーダー」などと絶賛し、その将来を大いに期待していた。
 その遠山が議員辞職、加えて刑事裁判にかけられることが決まったのだから、学会・公明党が受けるダメージは計り知れない。
 公明党は遠山を除名処分にするなどしてダメージ緩和を図っているが「時すでに遅し」だ。今後ますます学会崩壊に拍車がかかることは必至であろう。

遠山らの犯行手口

 遠山らが犯した事件について簡単に説明する。
 「貸金業法違反罪」は「ヤミ金融」を想定した犯罪。ヤミ金融とは貸金業の登録をしていない業者、或いは、登録はしているが法外な金利で貸付を行う業者のこと。暴力団の資金源となる場合が多いため、規制や罰則の強化が社会的に要請されている。
 なぜ、遠山らがヤミ金融を取り締まる貸金業法違反罪で起訴されたかというと、財務副大臣だった遠山らは、貸金業の登録を受けないまま、つまりヤミ金融として、百回以上にわたり、日本政策金融公庫(財務省所管の特別会社)の「新型コロナ対策の特別融資」を複数の企業に仲介していたのだ。
 しかも、遠山らは複数の企業に「国会議員の紹介でほぼ確実に融資を受けられる」などと話を持ち掛け、融資が下りた後は「大きな声じゃ言えないですけど、菓子折りの中の現金も歓迎です」などと言って、口利きの見返りとして融資額の三ないし五%のカネを要求、合計一千万円余も懐に収めた。
 そのカネで遠山は高級クラブに通っていたのだろう。遊び人の「遠山」といえば「この桜吹雪に見おぼえがねぇとは言わせねぇぜ!」と悪人たちを処断していく江戸町奉行の「遠山の金さん」が想起されるが、遠山清彦は裁きを受ける悪代官だったようだ。

検察の過剰な忖度

 しかし、一連の事実関係を前提にすれば、今回の事件は「貸金業法違反」ではなく「贈収賄」(汚職事件)として事件化し、遠山を逮捕して徹底的に捜査すべきだったと言える。
 実際、東京地検特捜部は、当初は職務権限の指示に基づく贈収賄での事件化を目指していたようだが、結局は遠山を逮捕しないまま、国民が耳慣れない「貸金業法違反罪」で起訴するという大甘処分を下した。
 〝遠山が汚職事件で逮捕・有罪となれば、公明党は大打撃を受ける。そうすると、学会票が無いと選挙に勝てない自民党も困る。夏の参院選に影響が出てはマズイ。汚職事件にはせず、遠山の逮捕もしないまま別の罪で起訴してパッと終わらせよう〟との特捜部の下心が見え見えだ。
 このような過剰な忖度こそ「厳正公平・不偏不党」を理念とする検察の正義が地に堕ち、時の政権に尻尾を振るだけの番犬集団に成り下がった証左といえる。
 腑抜けたマスコミと同様、権力に媚び諂う検察もまた日本を狂わせている原因の一つだ。全く以てだらしない。

秘伝の汚い手口

 今回、遠山と共に起訴されたのは、元公明党最高顧問・藤井富雄(昨年七月死亡)の側近だった牧厚、公明党衆議院議員太田昌孝政策秘書だった澁谷朗、複数の金融機関から約二十二億円も騙し取った会社「テクノシステム」の顧問だった川島裕の三名。
 殊に、牧は「テクノシステム」の元顧問でもあり、今回起訴された後も「何が悪いことなのか納得いっていない」と平然と言い放つ札付きの男だが、この男こそ遠山の応援団長でスポンサーだったというから聞いて呆れる。
 その牧と遠山を繋げ、遠山に口利きの手法を伝授したとされる人物が、元公明党最高顧問で「池田大作に最も近い議員」と言われた故・藤井富雄だ。
 藤井は、「闇の帝王」と呼ばれた元学会顧問弁護士・山崎正友の造反後、池田の意を受けて山崎が行っていた日本最大の暴力団山口組傘下の「後藤組」との交渉等の〝黒い仕事〟を引き継いだ正真正銘の悪党だ。
 思うに、遠山は反社会的勢力とも繋がる藤井から「闇の帝王学」とでも言うべき〝国を食い物にして学会員に様々な恩恵を与えるための手法〟を伝授され、一部の学会・公明党関係者にとって使い勝手のよい「ATM」に変貌したのではないか。
 実際、牧は企業に融資話を持ち掛ける際、「遠山先生が副大臣であるうちにパワーを使わないと」と口にしていたという。
 余談だが、昨年公明党がブチ上げて著名な評論家等が「天下の愚策」と断じた「十八歳以下への十万円給付」も、選挙に協力してくれた学会員への見返りという側面が強い。国からカネを引っ張り出して学会員に恩恵を与えるという手口は、学会の政治部たる公明党の十八番と言えそうだ。
 そうすると、かかる手口に長けた遠山が「次世代のリーダー」「次の次は党代表」として学会・公明党関係者から絶賛され、持ち上げられていたことも合点がいく。
 所詮、遠山の正体は〝カネ・女・酒に溺れた典型的なクズ〟でしかない。理由はどうであれ、このようなクズを持ち上げていた学会・公明党の程度の低さには失笑を禁じ得ない。
 いずれにせよ、遠山問題が学会・公明党に及ぼす影響は底知れない。本年夏の参院選が見物である。(天皷)