日本を財政破綻に陥れるアベノミクスの大罪

世相閻魔帳㉘「顕正新聞」令和4年2月15日号

 一月度総幹部会において浅井先生は
 「まさに米国の利上げが始まる本年こそ、日本が金融崩壊・経済崩壊へ向かうターニングポイントになる」
 と指導下されたが、今一度、アベノミクスで日本を財政破綻に陥らせる安倍晋三の大罪について、簡単に整理しておきたい。

大失敗のアベノミクス

 アベノミクスとは、第二次安倍政権が「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」を「3本の矢」として打ち出した経済政策である。
 日本銀行(日銀)に異次元金融緩和を推進させるにあたり、経済オンチの安倍はアベノミクスの指南役としてイェール大学名誉教授の浜田宏一内閣官房参与に任命し、日銀の総裁に黒田東彦を据えた。
 日銀はデフレ脱却のために2%の物価目標を掲げて異次元金融緩和を行ったが、結局、何年やっても物価は上がらなかった。むしろ、当初2年で終わらせると言っていた大規模な金融緩和を8年以上もの間ズルズルと続けた結果、日銀の財務内容を著しく悪化させるという最も深刻な副作用をもたらした。
 令和4年2月現在、日銀は523兆円とGDPと同等の国債保有するに至った。仮に日銀が短期金利を1・2%に引き上げるだけで、毎年度5兆円の損失を被ることになると指摘する学者もいる。日銀の自己資本は10兆円しかないので、1・2%の短期金利を2年程度維持するだけで日銀は債務超過に陥るという。
 また、日銀はETF(上場投資信託)を通じて日本株を大量に購入し続け、日本の株高を演じ、株価維持に励んできた。その結果、令和4年2月現在で36兆円ものETF保有するに至った。仮に日本の株価が暴落すれば、日銀は当期赤字、或いは債務超過に転落することにもなり得る。
 主要国の中央銀行ETFを通じて価格変動の大きな株式を購入した事例は他にない。日銀が行っている金融政策はそれほどまでに異常なのだ。
 このようにアベクロコンビがやってきた異次元金融緩和により、日銀は永遠にデフレ・株高でないと持たない状況に陥ってしまった。

進退両難に陥る日銀

 そうしたところに、今般のアメリカをはじめとする世界的なインフレ局面に直面してしまった。黒田が「金利を上げられる状態にはない」と言ったところで、アメリカ等の主要国が利上げをしていった時、日本だけ「利上げをしない」では済まされない。
 アメリカの金利が上昇して日本との金利差が拡大すれば、お金は低金利の日本から高金利アメリカに流れるため、円が売られドルが買われて円安となる。たとえ国内経済が弱くても、円安によって輸入物価等が上昇すれば国内物価も上昇に転じる。
 その時、中央銀行短期金利を引き上げられなければ、国内の物価上昇は抑えられず、一段と円安が加速する。財政事情が悪い日本から大規模な資金流出も起きかねない。生き馬の目を抜くような海外の投機筋が円売りを仕掛け、激しい円安となることも予想される。
 かくて賃金が上がらない国民の生活は「悪い物価上昇」に喘ぎ、ひいては激しいインフレに見舞われる。
 一方、日銀が金利を上げれば、前述の通り日銀自体が「債務超過」に陥ってしまう。
 債務超過に陥った中央銀行の紙幣は信用を失い、紙くず同然となる。主要国の中央銀行債務超過など前代未聞の事態だ。
 同時に長期金利が上昇して国債価格が下落すれば、GDPの2倍を超す1200兆円もの巨額債務を抱える政府は、国債の利払いと借換債の発行が出来なくなり、財政危機に向かう。
 このように、物価が上昇してきたときに短期金利を上げなければ「悪い物価上昇」、かたやそのとき金利を上げれば日銀の「債務超過」、まさに進退両難である。

アベクロのタバカリ

 本年四月以降、物価上昇率が目標の2%に到達することが確実視されているが、黒田は2023年度中の「物価上昇率2%」の達成はないと平然と否定している。まさかとは思うが、政策失敗の事実を隠蔽するため、国交省厚労省のようにデータを「改ざん」して物価上昇率を誤魔化す腹積もりなのかと勘ぐりたくなる。
 一方、安倍は、矢野康治・財務事務次官の「このままでは国家財政は破綻する」との捨身の論文を攻撃することで、アベノミクスの失敗を誤魔化そうとしている。具体的には
 「あれ(矢野氏の論文)は間違った見解だよ。日本国債は自国通貨建て(円建て)なんだから、デフォルト(債務不履行)などはない。ああいう形で発表するのは非常識だ」
 「借金を全部背負っているのは日本銀行だ。荒っぽい言い方だが、日本銀行は国の子会社。立派な中央銀行だが、5割は政府が株を持っているから、連結決算上は債務で
はないという考え方も成立する」と。
 バカも休み休み言え。〝一万円札を無限に印刷できる「打ち出の小槌」の日銀が赤字国債を買えなくなる事態など起こり得ない。政府と日銀は一体だから(日銀の私物化は完了したから)、国は日銀に借金を全額背負わせて無限に借金でき、返済の必要もない〟と言いたいらしいが、この理屈がまかり通るのであれば、国家運営に税は一切不要という話になる。
 また、財政法第五条は、先進各国と同様、政府が借金をするため新たに発行した国債(新発国債)を日銀が直接引き受ける「財政ファイナンス」を明確に禁止している。その理由は、財政ファイナンスを行った第一次大戦後のドイツ等が天文学的なハイパーインフレに襲われた教訓を踏まえ、「中央銀行の独立性」を高めるためだ。
 安倍のトンデモ発言は財政ファイナンスを事実上容認し、中央銀行の独立性を完全否定するものに他ならない。

氷山に激突寸前の日本

 矢野氏は先の論文で、「今の日本の状況を喩えれば、タイタニック号が氷山に向かって突進しているようなものです。氷山(債務)はすでに巨大なのに、その山をさらに大きくしながら航海を続けているのです」「このままでは日本は沈没してしまいます」と記している。
 安倍のペテン政治によって、日本国民は8年近くもアベノミクスが成功しているような虚偽の景色を見せられてきたが、実際には安倍が作り上げた巨大な氷山に激突寸前、沈没不可避の状況に追い込まれている。
 本年からは、総罰たる新型コロナウィルスの感染拡大に起因する〝米国の利上げ〟という大波が日本に押し寄せてくる。氷山までの距離は一気に縮まった。
 文字通り国を亡ぼす行為に及んだ亡国の政治家・安倍の罪は極めて重い。政界から追放し、絶海の孤岩にでも追いやらねばならない。(天皷)