世相閻魔帳

顕正新聞のコラム「世相閻魔帳」

「未曾有の危機」に直面した創価学会・公明党

世相閻魔帳㊿「顕正新聞」令和4年9月25日号

 公明党代表山口那津男は本年9月8日、党の中央幹事会の冒頭挨拶で「心から反省し、お詫びを申し上げたいと思います。本当に申し訳ありませんでした」、「公明党の議員として猛省」、「党の未曾有の危機に対して、団結をして、困難を乗り越えて……」などと深刻な面持ちで陳謝した。時間にして僅か3分、本年最短の冒頭挨拶だった。
 これは同日発売の「週刊文春」及び「週刊新潮」が創価学会公明党の崩壊を一段と加速させる不祥事を揃って報じたのを受けてのことだ。
 その記事のタイトルは「公明党が隠蔽した参院議員『凌辱セクハラ』」(週刊文春)、「『山口那津男代表』がセクハラ口封じ 被害女性が告発!公明党議員の『わいせつ』『妄想性交LINE』」(週刊新潮)。内容は、公明党参院議員・熊野正士(57歳、妻と2人の娘がいる)が学会二世の50代の独身女性に対し、卑劣で悪質なセクハラに及んだというものだった。

「日本のために絶対必要な議員」

 公明党大阪府本部の副代表を務める熊野は、平成28年の参院選公明党公認の比例候補として出馬して初当選後、菅内閣・岸田内閣において農林水産大臣政務官という要職を務めたほか、公明党の「農林水産部会長代理」も務め、本年7月の参院選では2度目の当選を果たし、公明党の「厚生労働部会長代理」に抜擢された経歴を有する。
 公明党の次期代表と目されている幹事長の石井啓一は本年5月、参院選に先立ち「公明党の国会議員で医師出身は2名しかいません。熊野参議院議員は医師として25年間活躍してきた経験を踏まえ、新型コロナ対策、がん対策、また、福祉・経済等さまざまな実績を上げ、活躍をしております。熊野議員はこれからの関西のみならず、日本のために絶対必要な議員であります」と熊野のことを褒めちぎっていたが、創価学会公明党の致命傷にもなり得る爆弾を炸裂させた熊野は、別の意味で「日本のために絶対必要な議員」だったと言える。

吐き気を催すセクハラ

 しかし何の事はない。公明党執行部から「絶対必要な議員」と評されていた熊野の正体は、卑猥な妄想で頭がいっぱいの只の変態オヤジだったのだ。
 「週刊文春」及び「週刊新潮」によると、熊野は自身が特別顧問を務める団体に勤務するこの学会二世の女性に対し「今日の下着の色は?」等のセクハラメッセージを送り付けていたという。だが、これはほんの序の口だ。
 なんと熊野はこの学会二世の女性との性行為を頭の中でアレコレ妄想し、そのおぞましい様を極めて卑猥な言葉で具体的に描写し、まるで「ポルノ小説」さながらの猥褻メッセージを大量に拵え、それを学会二世の女性に一方的に送り付けていたのである(吐き気を催す内容のため引用は控える)。
 それだけではない。熊野は深夜に泥酔した状態で学会二世の女性に電話をかけて卑猥な発言を浴びせたほか、実際に学会二世の女性の尻を握る等の痴漢行為にも及んでいたというから唖然とする。
 しかも、熊野は痴漢行為の後、学会二世の女性に対し「○○さま(被害女性の実名)のお尻、たまたま手に当たりました。そしたら、とても気持ちよかったので、つい、気がついたら○○さまのお尻を触ってしまいました」との変質的なメッセージを送信している。これで謝罪したつもりならば精神鑑定の必要がある。さっさと議員辞職すべきだ。

セクハラ隠蔽疑惑

 さらに「週刊文春」及び「週刊新潮」は、熊野のセクハラ行為を公明党代表の山口と副代表の北側一雄が隠蔽し、それを知りながら公認した疑惑を報じているが、今回の公明党議員のハレンチ事件がこれまでのものと違い極めて深刻な所以はここにある。
 両誌が報じた被害女性の証言は大要次のとおりだ。〝(被害女性は)本年4月末に北側と電話で会話し、熊野からセクハラを受けたことを伝えた。5月末には山口と北側が電話で謝罪してきた。その際に「熊野は議員を辞めるべき」と伝えたが、山口から「今は選挙中なので……」「それが表に出ると議席が……」などと「口止め」と感じるような発言をされた〟と。
 この〝隠蔽疑惑〟報道に公明党は猛反発の姿勢を示した。両誌の発売当日に公明党は「山口代表、北側副代表が参院選前から(熊野のセクハラ行為を)知っていたかの様な記事内容は、全く事実に反する」とか、山口と北側が被害女性から電話で聞いた内容は「(熊野が)飲酒をして深夜に電話をかけてきたこと」だけという趣旨のコメントを発表し、翌日には〝山口や北側が熊野のセクハラ行為を隠蔽した事実はない〟として、公明党が原告となり、両誌の発行元に対して損害賠償と謝罪広告の掲載を求めて東京地裁に提訴した。政権与党が「党」として出版社を提訴することは稀と言えよう。
 なお、本件に関連して公明党が発表したコメント中に、被害女性に対する謝罪の文言は一言も無かった。そればかりか〝被害女性の主張は余りにも一方的で事実経過と明らかに異なる〟〝被害女性は熊野に対して妻と離婚することを執拗に強要し、応じなければ週刊誌に情報を提供すると脅し、熊野を精神的に極度に追い詰めて入院に追い込んだ〟〝熊野の妻は被害女性に法的措置をとる予定〟などとセクハラ加害者である熊野側の主張がそのまま盛り込まれている。
 公明党は選挙前に〝女性支援の活動で最も頼れるのは公明党〟などと宣伝していた。しかし、己に火の粉が降りかかるや、セクハラ被害を受けた女性に寄り添うどころか、平然と被害女性を貶めるコメントを出して自己保身に走る公明党の言行不一致には開いた口が塞がらない。学会女性部の憤りは収まらないだろう。

強気の文春・新潮

 一方、公明党の提訴を受けて「週刊新潮」編集部は「女性の証言など、確実な根拠に基づき事実を報じた」とコメント。「週刊文春」編集部も次のコメントを発表した。
 「記事にはじゅうぶん自信を持っています」、「トラブルを把握しながら、そのような問題議員を、なぜ参院選で公認して出馬させ、当選させたのか、公党として有権者に説明するべきと考えます。最近、セクハラ報道の細田博之衆院議長など、提訴を言い訳にして、説明責任を果たさない政治家が増えています。政権与党の公明党が、提訴を理由に説明責任を回避することのないよう、期待しています」と。全く以てそのとおりだ。
 また、両誌は本年9月14日、それぞれネット上に「公明党の説明に疑義『北側副代表にも話が行っている』セクハラ熊野正士参院議員の〝自白LINE〟入手」(文春オンライン)、「『公明党はウソをついている』被害女性が告発 熊野正士議員の性加害、山口代表らはセクハラ行為を把握していた」(デイリー新潮)と題する記事を公開し、翌日に発売された両誌でその詳細を報じた。
 いずれの記事も、公明党副代表の北側が熊野と被害女性との間の性的なトラブルを参院選前に認識していたことを充分に裏付け得る物証及び被害女性の新証言を基に、公明党の説明に疑義を呈するものだった。
 殊に「デイリー新潮」は「酔っぱらい電話だけで与党のナンバー1&2が謝罪の電話を入れるはずがない。深刻な問題だと認識していたからこそ異例の対応になったわけで、嘘にしても、もっと上手い嘘をつくべきであろう」と反論しているが実に的を射ている。
 「未曾有の危機」に直面し慌てて提訴に踏み切った公明党だが、それが藪蛇になる可能性は高そうだ。いずれにせよ、今後真相が裁判で明らかになることに期待したい。

崩壊寸前の学会・公明党

 公明党関係者の卑猥なスキャンダルは約3か月前にも報じられたばかり。昨年の衆院選公明党公認の比例候補として出馬した当時公明党職員で党総合センター事務局副部長だった大沼伸貴(創価高校創価大学卒の学会エリート)が、誰でも閲覧可能なSNSのアカウント上に「職場と思しき場所で、ズボンから出した局部をアップにした写真」をはじめとする大量のわいせつ動画や写真等を公開していた一件だ。
 何より「公明党ホープ」と期待されていた遠山清彦(元公明党衆院議員・元財務副大臣)が、緊急事態宣言が発令されている最中に銀座の高級クラブに入り浸り、コロナ禍で苦しむ業者からカネを受け取って私腹を肥やした末に「貸金業法違反罪」で有罪判決を言い渡された一件は記憶に新しい。
 かつて浅井先生は「『魚は頭から腐る』という。池田大作の信心が腐っているから、学会の政治部である公明党も腐ってくる」と指導下されたが、遠山も熊野も党執行部から信頼された評価の高い党の中枢議員だったことを踏まえると、これらの不祥事は飽くまで氷山の一角に過ぎず、公明党議員は既に尻尾まで腐り切っているのではないかと思えてならない。
 「極限の大謗法」を犯した創価学会の崩壊は、もう時間の問題だ。(天皷)