世相閻魔帳㊳「顕正新聞」令和4年5月25日号
四月度総幹部会において浅井先生は、阿部日顕の無慚・無愧そして師敵対を指摘された上で、「このように大聖人様に背き奉る悪行を重ね、なお全く恥じることのない阿部日顕に、果して御本尊を書写し奉る資格があろうか。このような悪僧が宗門に蟠踞していることこそ、正系門家における『末法濁悪』が極に達したことを物語っている」と叫ばれ、遥拝勤行こそ「時に適った信行」であることを指導くださった。
かかる無道心の阿部日顕の「直属の謀略部隊」として跳梁跋扈してきたのが、大草一男が率いる「妙観講」である。大草一党は阿部日顕を守るために「提婆の虚誑罪」「倶伽利の欺誑罪」にも勝るとも劣らないペテンを用いて、目障りな対立相手に卑劣でえげつない攻撃を仕掛けてきた。その一例が「信平狂言事件」だ。
同事件は「顕正新聞」(令和3年7月25日号)の本コラムでも紹介したが、大草一党の謀略体質を雄弁に物語る事件であるため、再度取り上げておく。
信平狂言事件
平成2年以降、学会と宗門が「修羅と悪竜の合戦」そのままの凄絶な大抗争に陥ると、学会は「シアトル事件」(阿部日顕が教学部長時代にシアトルへ出張授戒に赴いた際、売春婦とトラブルを起こして警察沙汰になった事件)を大々的に宣伝した。
窮地に追い込まれた阿部日顕は自身の出廷を恐れて「日蓮正宗」と「大石寺」を原告として学会を名誉毀損で訴えたが、結局3回も出廷を余儀なくされ、その度に学会弁護団から執拗なる辱めを受けた。
〝目には目を歯には歯を〟だから〝下半身スキャンダルには下半身スキャンダルを〟と考えたのかは知らないが、日顕は妙観講の幹部らに反撃材料の収集を行わせ、ついに〝池田大作に3回も強姦された〟と主張する「信平信子」という元学会幹部の婦人を見つけ出した。
平成8年、妙観講副講頭の佐藤せい子と支区幹事の佐貫修一は、当時「週刊新潮」の記者だった門脇護(現在は「門田隆将」と名乗る輩)を連れて北海道函館市で信平夫妻と面会した。そこで縷々謀議をこらしたのだろう。その後、「週刊新潮」は信平の手記を大々的に報じたのだが、「慧妙」は「週刊新潮」が発売される以前にその予告記事を掲載した。また、信平が池田を提訴した際に東京で行った記者会見の会場を手配したのも妙観講員だった。
かくて信平・大草一党・門脇らは巧みな連携プレーで池田を徹底的に叩き、世間を大いに騒がせてみせた。
しかし、〝池田大作に3回も強姦された〟という主張は信平の〝作り話〟だった。しかも、それは調査すれば誰でも簡単に分かるような極めてお粗末なシロモノ。信平は裁判でウソがばれるたびに新たなウソをつき、どんどん窮地に追い込まれた。
だが「慧妙」は、そんなことは一切お構いなし。「完全逃げ腰の池田大作」、「窮地に立たされた池田大作」、「池田の負けが見えてきたレイプ裁判」などと大本営発表を繰り返し、読者の宗門僧俗に〝池田は強姦した〟〝池田は劣勢だ〟という誤った印象を植え付けた。
当然、東京地裁は信平の訴えについて「事実的根拠は極めて乏しいといわざるを得ない」と虚構性を認定した上で、「本件訴えは、訴権を濫用するものとして不適法」と100万件に1件あるかないかと言われている「訴権の濫用」(嫌がらせだけが目的の提訴)に当たるとし、「原告(信平)の不当な企てに裁判所が加担する結果になりかねないから、この時点で本件訴訟審理を終了する」と宣言して信平の訴えを却下した。
後にも先にも、これほどまでに悪質な訴訟は無いだろう。かかる狂言事件に大草一党が深く関与したことは、「『慧妙』の編集担当者は、『週刊新潮』の信子の手記掲載をあらかじめ認識していた」等と判決が指摘しているとおりだ。
謀略紙「慧妙」の実態
言わずもがな、信平狂言事件で重要な役割を担ったのが「慧妙」であり、その編集・発行を担っているのは大草一党だ。
顕正会等を被告として提訴したものの、原告である大草一男と妙観講の全面敗訴となった「カエリタマエ」の捏造音声を巡る裁判において、大草は「『慧妙』の編集には関与していない」とウソをついて責任逃れを図ったが、判決は大草一党と「慧妙」の関係について、「人的にも業務内容的にも極めて密接な関係を有している」、「『慧妙』の編集にも全般的に関与していた」と的確に認定している。
また、あまり知られていないが「慧妙」の発行業務等の一切は「株式会社ぎょうしょう」という妙観講が運営する出版会社に委託されている。同社の所在地は東京都杉並区の妙観講本部、代表取締役は妙観講副講頭の佐藤せい子、取締役は大草一男、監査役は妙観講指導教師の小川只道(本山塔中理境坊住職)だ。
当の「株式会社慧妙」の所在地は静岡県富士宮市の個人宅であり、なぜかその代表番号に係る電話料金の「請求書送付先」は妙観講本部となっている。つまり「株式会社慧妙」はいわば「ペーパーカンパニー」のようなもの。このような実態にもかかわらず「『慧妙』の編集には関与していない」と裁判でウソをついた大草の精神構造は異常だ。
「信平狂言事件」や「カエリタマエ捏造音声事件」に見るごとく、対立相手を貶めるためなら捏造すらも平気の平左の悪辣さ、また虚偽・捏造がバレても悪びれもせずにウソにウソを重ねる大草一党の厚顔無恥には反吐が出る。
「慧妙」の役割
そもそも「慧妙」は平成5年1月、学会への反撃を企図した阿部日顕が大草らの献策に応じ、妙観講の機関紙「妙観」と他の宗門僧俗が発行していた新聞を発展的に継承して発刊された。要するに、妙観講の機関紙をリニューアルして対学会用の宗門の準機関紙に格上げさせたのが「慧妙」というわけだ。
阿部日顕は学会のスキャンダル攻撃からウソと詭弁で己を守ってくれる謀略紙を用意できたことが余ほど嬉しかったようで、自ら「慧妙」と命名してその題字を下手な字で揮毫し、創刊号(平成5年1月15日号)の第1面に、従前、学会からの攻撃に大草らが屁理屈等で対抗していたこと等について「目下の情勢において洵に時宜を得た、護法の精神の顕われ」「醜魔醜敵は恐れ戦いたことであろう」などと褒めそやした上で、「『慧妙』の出発こそ、吾ら宗門人として、悦ぶべく期待するものである」などと下らぬ文章を寄稿している。
しかし、多くの末寺住職がそのえげつない紙面を敬遠していたからか、平成6年5月に行われた寺族同心会(宗門の全僧侶とその家族を会員とする組織)の会合でも、阿部日顕は「慧妙」を讃嘆し
〝「慧妙」を妙観講という一講中の機関紙ということで関係がないとは考えずに、創価学会破折の有効な弾丸であるということを理解して、「慧妙」の編集に積極的に参画し、配布にも力を入れるよう求める〟
〝学会との言論戦は「お上品な印刷物」では対応できない。それをやるのが「慧妙」である。「大白法」は機関紙としてあるが、詳しくやれない問題もある〟
などと発言し、末寺に寺院会計で費用を捻出・負担して「慧妙」を多数部購読するよう強要している。
御役御免
このように、スキャンダル攻撃から守ってもらいたい阿部日顕と、〝親衛隊〟よろしく日顕に取り入り栄達を目論む大草一男が互いに〝共生関係〟にあったからこそ、大草一党は宗門で横行闊歩できていたといえる。
ところが、阿部日顕が命終して以降、大草一党と「慧妙」に対する宗門僧侶の認識は変わりつつある。最近では宗門僧侶の中にも、「妙観講は異質な組織だ」「あんな奴らを重用してどうなんだと思っている」「『慧妙』は読まないし、寺にも置きたくない」「信仰という面からも馴染まない」などと正直な感想を述べる者も少なくない。
早瀬管長は虚構の「法華講員八十万体勢」に大草一党のデタラメな勧誘を利用したが、欺瞞の達成宣言が済んだ以上、もはや大草一党は御役御免だろう。本年4月に行われた法華講連合会委員長・副委員長人事において大講頭の大草一男が用いられなかったことを見れば早瀬管長の意志は明白だ。
宿主を失った寄生虫は死を待つのみ。それが寄生虫の宿命である。(天皷)