国交省統計改ざん発覚で馬脚を露わすアベノミクス

世相閻魔帳㉗「顕正新聞」令和4年2月5日号

 令和3年12月、国が特に重要と位置付ける基幹統計の一つで国内総生産(GDP)の算出等にも使われる「建設工事受注動態統計」(建設業者が公的機関や民間から受注した工事実績を集計したもの)を、国交省が不正に改ざんしていたことが発覚した。
 改ざんして数字を大きくすれば、その分GDPが増加する。GDPの増加は日本経済が成長したことを意味する。つまり、改ざんして数字を大きくすればするほど、日本経済がどんどん成長しているかのように偽ることができる。
 国交省は、都道府県の担当者に対し、「すべての数字を消す」「全ての調査票の受注高を足し上げる」などと指示し、建設業者が提出した調査票(原票)に記載された数字を「消しゴム」で消し、より大きい数字に改ざんしていた。
 第二次安倍政権発足後の平成25年4月からは「二重計上」も行われた。
 安倍は、期限までに提出がなかった事業者のデータをゼロとして処理する従来のルールを変更し、ゼロではなく「推計値」を入力するようにさせた。
 一方、都道府県は、期限に遅れて提出されたデータを翌月以降に合算するよう指示していた。ために、同じ業者について「推計値」と「遅れて提出されたデータ」の二つが計上されることとなった。
 令和元年11月、改ざんに気付いた会計検査院が注意したことにより、都道府県の担当者による改ざんは中止されたが、国交省の本省職員らは、会計検査院から指摘を受けてもなお改ざんを続けていたというから狂っている。
 統計法60条は「基幹統計の作成に従事する者で基幹統計をして真実に反するものたらしめる行為をした者」を、「六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」と規定している。改ざんは歴とした犯罪で、大問題であることは論を俟たない。
 しかるに、政府に諂う大手メディアは、未だに国交省の統計改ざんを「不正問題」「書き換え」などと甘ったれた言葉で報じ、事件の矮小化をアシストしている。何とも情けない。

改ざんの影響は甚大

 政府は、統計改ざんによって〝かさ上げ〟されたGDPについて「影響は軽微と判断している」と嘯いていたが、これは真っ赤なウソだ。大体、正しい数字を消してしまっている以上、影響の軽重など判断できるはずがない。
 しかも、直近の令和3年度の統計について、朝日新聞が公表データを基に複数の専門家の助言を得て試算したところ、なんと同年度の統計が約4兆円も過大になっていることが判明した。4兆円という金額は実績全体(79兆5988億円)の5%にも相当する。
 会計検査院から指摘を受けた後、国交省の本省職員だけが改ざんするようになってからの過大分が4兆円となると、都道府県の担当者も改ざんを行っていた平成25年度から令和元年度の過大分は、より大きい金額であることは疑いない。
 結局、第二次安倍政権発足以降、政府が国内・国外に向けて公表してきたGDPやGDP成長率は、その全てが改ざんされたデータを前提とするデタラメな数字だったわけだ。

目的はアベノミクスの成果捏造

 では、国交省の職員が統計改ざんに手を染めた目的・理由は何か。
 国交省の職員にとって、建設業の受注実績の良し悪しは自身と全く関係がない。ゆえに、国交省の職員には、懲役刑等になるリスクを背負ってまで全国の業者が提出した正確な数字を改ざんする理由など全くない。
 そうすると、森友事件において財務省が公文書を改ざんした事件と同じく、統計改ざんも政権の意向が働いたと考えるほかない。
 要は、「アベノミクスによって経済が大きく成長した」との〝虚偽の演出〟をする目的で、政権の指示、または国交省が安倍の強い意向を忖度し、国交省の職員が統計改ざんに手を染めたというのが事の真相だろう。
 会計検査院から指摘を受けた後も、国交省の本省職員が改ざんを強行していた理由は、全ての改ざん作業を一時に中止すると「アベノミクスの失敗」が露呈するとの懸念から、中止しようにも中止できなかったのではないか。
 実際、第二次安倍政権発足以降、安倍のために改ざんを続けてきたと思しき国交省総合政策局の局長は現職を含めて9名いるが、全員揃って国交省事務次官や復興庁事務次官等に大出世を遂げている。
 これまさに、統計を改ざんしてGDPをかさ上げし、アベノミクスのペテンに加担したことに対する〝論功行賞〟であることは疑いようがない。

安倍ペテン政権の大罪

 安倍の政策の一丁目一番地はアベノミクスであるから、その失敗が露呈すれば、政権の崩壊のみならず、安倍個人の政治生命終焉に直結し得る。
 だからこそ、安倍はGDPのかさ上げに躍起になっていたのだろう。
 あまり知られていないが、安倍は平成28年に〝GDPの算出方法変更〟という大胆な奇策まで弄している。
 振り返れば、平成30年には、厚労省の「毎月勤労統計」(GDPの算出等に使われる)も、統計をまとめる過程で不正が発覚していた。今後、他の省庁においても不正に手を染めていた事実がどんどん明るみに出るかもしれない。
 言わずもがな、統計や公文書は国家・国民が共有する知的資源であり、それらは客観的なデータ・事実を正確に記録したものであることが大前提だ。
 時の権力者が私利私欲のために改変、改ざんすることは断じて許されず、公務員も「国民全体の奉仕者」である以上、権力者の横暴を断固阻止しなければならない。
 しかるに、安倍政権以降、こうした常識・大原則は尽く破壊され、公務員が政府の意向で公文書や統計を改ざん・隠蔽する異常事態が相次いでいる。加えて、大手メディアまでも政府に諂う有様。この国が腐りつつあることは火を見るよりも明らかだ。
 諸悪の根源である安倍を早急に政界から追放、いや逮捕する必要がある。(天皷)