赤木氏を〝殺した〟安倍の大罪

世相閻魔帳㊺「顕正新聞」令和4年8月5日号

 亡国の政治家・安倍晋三元首相が本年7月8日、奈良市内で演説中に銃撃されて鬼籍に入った。
 安倍が死亡した後の大メディアの異常極まる安倍礼賛報道はいったい何なのか。森友・加計・桜・河井等の疑惑に言及するメディアは殆ど無いばかりか、大失敗のアベノミクスで「日本経済の再生」とか、北方領土をまんまとプーチンに奪われたのに「外交で著しい成果」などと明らかな虚偽報道を垂れ流し、生前安倍の太鼓持ちを務めたコメンテーターらに安倍讃嘆コメントをさせる始末。あまりに気持ち悪すぎる。
 挙句、岸田文雄首相は安倍を「国葬」(全額国費で葬儀を実施)とすることを決定し、〝日本国民全員で安倍を追悼しろ〟といわんばかりだ。戦後、総理大臣経験者の国葬は昭和42年に行われた吉田茂の葬儀以来55年ぶりとなるそうだが、なぜ安倍が昭和天皇に忠誠を尽くし、マッカーサーと堂々と、かつ巧みに渡り合い、戦後の日本復興の道筋を付けた吉田茂と同じ扱いになるのか。国会での数多の虚偽答弁、国政の私物化、公文書の隠蔽・改ざん、統計偽装等、安倍の犯罪の数々に鑑みれば「国葬」ではなく「告訴」の間違いか。
 岸田は「国葬」にする理由を「憲政史上最長の8年8か月にわたって首相の重責を担ったこと」「内政や外交で大きな実績を残した」「国際社会からの高い評価」「蛮行による死去に国内外からの哀悼の意」とし、「我が国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜くという決意を示していく」などと述べていたが全く以て理由になっていない。岸田が安倍の死を政治利用する腹積もりなのかは知らないが、安倍の葬儀はこれまでの総理大臣経験者と同じく「内閣と自民党の合同葬」で何ら問題はない筈だ。
 まして、安倍を殺害した犯人が「政治信条に対する恨みではない」「安倍と団体(統一教会)につながりがあると思い、絶対に殺さなければいけないと確信した」と供述しているとおり、今回の事件は信者の資産を根こそぎ奪おうとする反社会的な邪教統一教会に家庭を崩壊させられた犯人が統一教会のシンパである安倍を恨んで殺害したという「私怨による殺人」に過ぎず、そもそも日本の民主主義が危機に晒されているといった大仰な話では全く無い。
 大体、森友・加計疑惑のような国政の私物化(オトモダチ優遇)、国権の最高機関たる国会での虚偽答弁(桜を見る会前夜祭問題を巡る虚偽答弁の回数は実に118回)、安保法制・特定秘密保護法等の強行採決、河井事件の1億5000万円問題等に関する説明責任の放棄等、こうした安倍の所為こそ岸田の言う「民主主義」を蹂躙・愚弄するものではないのか。
 何より近畿財務局の赤木俊夫氏は、安倍が国会で森友事件への関与を追及された際に責任逃れのために言い放った国会答弁が原因で、財務省幹部から公文書改ざんという犯罪を強要させられて自死に追い込まれている。〝安倍に殺された〟と言っても過言ではない。仮に岸田が「暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜くという決意」を示したいのであれば、安倍ではなく安倍に殺されたと言える赤木氏を国葬にすべきだろう。
 今後、腑抜けた大メディアが無かったことにしようとしている安倍の悪政・犯罪、そして安倍の暗殺で図らずも浮き彫りとなった自民党(殊に安倍派)と統一教会の深い闇を記していこうと思案しているが、今回は安倍の邪悪・外道ぶりが遺憾なく発揮された「森友事件」を振り返る。

安倍に殺された赤木氏

 森友事件は日本会議大阪の役員だった籠池泰典氏が理事長を務める「森友学園」の経営する幼稚園において、園児に「教育勅語」を朗唱させる等の愛国教育がなされていることに感動した安倍が、国有地をほとんどタダ同然で学園に払い下げるよう仕向けた事件だ。
 疑惑を追及された安倍は国会で〝私や妻が、もし小学校の設立や国有地払い下げに関与していたら、総理大臣はもとより国会議員も辞任する〟と大見栄を切った。その直後より財務省は安倍の政治生命を守るため、事実を捻じ曲げて「安倍や妻の昭恵の関与がなかった」ことにしようと国有地取引の経緯等を記した公文書の改ざんを開始した。この改ざん作業を押し付けられたのが赤木氏だった。安倍がバカげた答弁をせず潔く疑惑を認めていれば、財務省は公文書を改ざんする必要はなく、赤木氏も自死に追い込まれることはなかったわけだ。
 しかし、安倍は「答弁が改ざんのターニングポイントとは(赤木氏の)手記に書いていない」と平然と開き直ってみせたのだ。財務省の調査報告書に安倍の答弁が改ざんの発端となった旨が記載されているにもかかわらず、である。無責任極まりない度し難いゲスである。いったいどういう神経をしていたのか、司法解剖の際に是非明らかにしてもらいたかった。
 安倍の冷酷ぶりは赤木氏が亡くなった後も改まらなかった。国の担当者(安倍の配下)は赤木氏の妻・雅子さんが〝夫が自殺に追い詰められた真相を知りたい〟との思いで国を提訴したことを知りながら、赤木氏が改ざんの過程等を時系列で整理した文書やメール等をまとめた「赤木ファイル」を隠蔽し、何年もその存否すらも明らかにしなかった。
 しかも国の担当者は裁判で財務省関係者の尋問が避けられなくなった途端、安倍の傀儡である岸田首相の承認を得て、賠償金1億1千万円余りを雅子さんに支払って裁判を即時かつ強制的に終結させる「認諾」という〝奇策〟を弄し、森友事件の真相に迫る道を完全に封じてみせたのだ。
 要するに、雅子さんが何度も求めてきた「再調査」を徹底的に拒絶し、仕方なく裁判に踏み切らせていよいよ真実が明らかになるかもと一縷の望みを抱かせたところで「二度と森友事件のことで騒ぎ立てるな」と札束で頬を張り、裁判を強制終了させたわけである。これほどまでに卑劣・非情な仕打ちはあるまい。
 己の政治生命を守るために赤木氏を自死に追い込んだ挙句、その妻までも嬲った大罪人の安倍を、単に銃撃されて死亡したという理由だけで英雄のごとく取り上げることなどお門違いも甚だしい。
 安倍の葬儀など本来安倍が入るべきだった「刑務所」で、自民党統一教会が仲睦まじく執行すればいい話だ。その方が安倍も喜ぶだろう。大罪人の葬儀に国民を巻き込むのは止めてもらいたい。(天皷)