世相閻魔帳

顕正新聞のコラム「世相閻魔帳」

「未曽有の危機」への対応を誤った学会・公明党

世相閻魔帳51「顕正新聞」令和4年10月5日号

 前号の本コラムでは、公明党参院議員・熊野正士(本年9月30日に議員辞職)の学会二世の女性に対する卑劣で悪質なセクハラ問題を取り上げた。
 公明党代表山口那津男がこの問題を「党の未曽有の危機」との容易ならざる表現を用いて危機感を露わにした最大の所以は、セクハラに及んだ熊野が菅内閣・岸田内閣で農林水産大臣政務官という要職に就き、公明党でも大阪府本部副代表や農林水産部会長代理等を務める党の中核議員だったという点ではなく、熊野のセクハラ行為を公明党代表の山口と副代表の北側一雄が隠蔽し、その事実を承知の上で熊野を本年の参院選で党公認の比例候補として出馬させた疑惑が報じられている点にあることは言うまでもない。
 これまで公明党は所属議員が不祥事を起こした際、当該議員を即刻議員辞職させて幕引きを図ってきたが、今回ばかりは公明党代表と副代表に隠蔽疑惑が向けられているため、従前と同様の幕引きを図れない。ここに学会・公明党が煩悶する所以がある。

悪手を打った学会・公明党

 熊野のセクハラ報道は、本年7月の参院選で惨敗を喫した学会・公明党にとって「弱り目に祟り目」だった。
 学会・公明党の慌てふためきぶりは両誌発売の翌日、すぐさま両誌の発行元に損害賠償等を求める提訴に踏み切ったことに現れている。しかし、これは「悪手」を打ったと言える。なぜなら、提訴から一週間もしないうちに、公明党は両誌から隠蔽疑惑を裏付け得る物証及び被害女性の証言等を新たに突きつけられ、かえって窮地に追い込まれてしまったからだ。
 しかも、「週刊文春」からは「政権与党の公明党が、提訴を理由に説明責任を回避することのないよう、期待しています」と牽制され、「週刊新潮」からは「逆ギレ提訴」、「嘘にしても、もっと上手い嘘をつくべき」、「(今回の公明党の対応は)20年は遅れている。上場企業なら完全に失格です。国会議員は公人であるのだから、民間より情報開示の意識を強く持つことは必須。卑猥電話の話を聞いて、即調査、即開示をしていない時点で完全に隠蔽と言えるでしょう(企業コンプライアンスの専門家)」などと嘲笑される始末。もはや見るに堪えない。大半の学会員も同意見だろう。
 これまでも公明党議員等はたびたびお粗末過ぎる事件を起こして世間を騒がせてきたが、汗水を流して手弁当公明党候補を応援してきた学会員にとってはやるせないだろう。学会・公明党は「清潔」「クリーン」の金看板を「不潔」「ダーティ」に改めたほうが実情に即しているのではないか。

ハレンチな公明党議員

 九月度総幹部会において浅井先生は公明党議員等の不祥事を列挙されたが、本コラムでも取り上げたい。
 些か古い事件では、公明党参院議員だった片上公人が女性秘書に抱き付く等のセクハラに及んだ事件(平成3年)、公明党江戸川区議で同党葛西支部長だった松本弘芳が消費者金融から400万円も借り入れ、複数の女子高校生らを20数回にわたり買春したほか、その様をビデオで撮影していたとして、児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で逮捕された事件(平成12年)が挙げられる。
 見過ごせないのは、池田大作が平成26年11月に会長の原田稔に「弘安二年の御本尊は受持の対象にはしない」と宣言させた「極限の大謗法」以降、公明党議員のハレンチ事件が従前と比較して増加傾向にあることだ。
 平成29年9月、公明党参院議員で第二次安倍政権では復興副大臣の要職にも就いていた長沢広明は、議員宿舎に愛人(銀座のホステス)を連れ込み、その不倫が発覚した後、直ちに議員辞職した。議員になる前は「公明新聞記者」だった長沢は、学会の選挙担当だった佐藤浩副会長とも距離が近かったと言われている。
 長沢が議員辞職した翌週、今度は同年の衆院選公明党から比例近畿ブロックで公認されていた公明党衆院議員の樋口尚也が、東京・赤坂のホテルで不倫していた疑惑を「週刊文春」に直撃され、その後直ちに公明党離党と出馬辞退に追い込まれた。創価大学出身で文科政務官まで務めていた樋口は、公明党では青年委員長を務め「若手のホープ」として期待されていたという。
 令和3年2月には創価高校創価大学卒という経歴を有し「公明党ホープ」、「公明党のプリンス」、「次世代のリーダー」と嘱望されていた公明党衆院議員で元財務副大臣遠山清彦が、緊急事態宣言が発令されている最中に銀座の高級クラブに入り浸っていたことが発覚し、議員辞職を余儀なくされた。
 しかも、遠山はコロナ禍で苦しむ業者からカネを受け取って私腹を肥やしており、令和4年3月、「貸金業法違反罪」で有罪判決まで言い渡されている。
 そして今般、公明党幹事長の石井啓一が「日本のために絶対必要な議員」と持ち上げた熊野のセクハラ事件が発覚、という具合である。

学会員のお粗末な事件

 学会員による目に余る事件も散見される。
 例えば令和2年10月、学会本部の職員で聖教新聞社に籍を置き、将来の幹部候補だったという谷川竜平は、「仕事のストレスを解消するため」という理由で連続放火事件を起こし、逮捕された。谷川は創価大学出身で「少年部書記長」を務める学会エリートだったという。
 令和4年6月には、創価高校創価大学卒という学会エリートであり、過去の衆院選公明党公認の比例候補として出馬していた公明党職員(党総合センター事務局副部長)の大沼伸貴が、SNS上でわいせつ動画や写真を大量に公開していた事実も発覚した。
 そして先般、福岡地裁は「福岡5歳児餓死事件」に関し、被害児童の「ママ友」だった赤堀恵美子被告に対して保護責任者遺棄致死の罪などで懲役15年の判決を言い渡したが、一部報道によると赤堀は学会員だという。
 無論、これらの事件は氷山の一角に過ぎないだろう。

人材不足に喘ぐ学会・公明党

 先に挙げたハレンチな公明党議員の大半が、学会・公明党から大いに評価・期待されていた者たちというのだから、学会員にしてみれば笑うに笑えない。もはや学会・公明党内部にはまともな人物がいないのだろう。
 このことは本年9月25日、公明党が異例と言うべき山口の代表8期目続投を無投票で決定・承認したことからも窺われる。
 山口が陣頭指揮をとった本年7月の参院選では、公明党比例代表で「800万票・7議席」の目標を掲げたものの「618万票・6議席」と大惨敗。しかも、公明党は代表任期にも影響を及ぼす選挙公認に関する内規で〝任期中に69歳を超える場合は原則公認しない〟と定めているところ、山口は既に70歳。一部では山口と岸田首相の関係が良好ではないとも囁かれている。こうした事情から、山口の代表辞任は既定路線のはずだった。
 にもかかわらず、山口が異例の続投を決めたのは、学会本部の強い意向のためと言われている。現在、学会・公明党は「統一教会問題」で煽りを受けているほか、新たに熊野のセクハラ問題という爆弾も抱えてしまい、まさに「未曽有の危機」に直面している。ゆえに学会は〝このタイミングで新代表に党の舵取りを委ねることは危険。「世代交代」などと言っている場合ではない〟と判断し、経験豊富な山口の続投を求めたのだろう。要は、学会からすれば、山口以外に頼れる人材が公明党に存在しないというわけだ。

学会・公明党への痛烈批判

 そのような状況の中、熊野のハレンチ事件をめぐる学会・公明党の対応に対してSNS上では痛烈な批判が上がっているため、幾つか紹介する。
 「熊野正士を擁立し、私達に手弁当で応援させたのは、創価学会ですよ。この問題に学会本部は、公明党だけに責任を押し付け、知らん顔ですか?」
 「こいつ(熊野)が表に出て謝罪会見しない限り、公明党は『変質者を国会議員にした政党』と言われ続ける。この件について裁判所に提訴した、ということでしたね。告訴できなかったのは、記事に誤りがないことを知っていたからですよね」
 「熊野正士氏、既に入院して1ヶ月近く経ちます。入院して政治活動ができない、議員として仕事もしていない人に議員歳費を払い続けることを許すのでしょうか」等々。
 浅井先生は「今や、天魔その身に入りし池田大作も、ついに命運が尽き、創価学会公明党は崩壊の危機に瀕している」と断じられたが、「党の未曽有の危機」への判断ミスが、学会・公明党の崩壊を加速させたことは疑いないだろう。(天皷)