安倍を喪い凋落著しい日本会議

世相閻魔帳53「顕正新聞」令和4年10月25日号

 安倍晋三の横死以降、「反日カルト」「反社会的邪教集団」というべき統一教会による政界汚染の実態や安倍とのズブズブの関係がクローズアップされているが、統一教会と同じく政界に深く食い込み、統一教会以上に安倍と蜜月の関係にあった団体の存在を忘れてはならない。極右団体・日本会議のことだ。

安倍の神格化を図る

 日本会議は機関誌「日本の息吹」(令和4年9・10月合併号)を「安倍晋三元総理追悼号」と銘打って発刊したが、その内容は安倍と日本会議の蜜月ぶりを写真等で振り返りつつ、安倍と考えの近い政治家や神社本庁総長等の邪教の代表者、有象無象の安倍支持者たちが寄稿した追悼文を大量に掲載したものであった。
 その余りのおぞましさにドン引きしてしまったが、その一部を紹介しておく。
 「安倍晋三元総理の現身は幽身となりしも、その精神は消ゆることなく、我が国を護られ私共を力強く導かれるであろう」
 「今はただ、安倍元総理による天界からの日本国のご守護と私どもの改憲運動のお導きを願い、朝晩祈り続けている毎日である」
 「あなたはいま、私たちのゆく道を指し示す神様のような存在になられた気がいたします。これからの日本のため、どうかこれからも私たちに力と勇気をお与えください。いつの日か安倍晋三神社ができた折には必ずお参りさせていただきます」
 「安倍氏は日本の希望の星だった……これからは護国の星となって永遠に日本を守ってくれるだろう」
 「安倍氏御自身は肉体の束縛を解かれて高い清らかな世界に昇られて天翔けり国翔けり、日本を護ってくださっていると思います」等々。
 冗談ではなく本当に「安倍晋三壺神社」をこしらえそうな勢いであるが、ここまで安倍を賛美して神格化を図ろうとする〝異常さ〟に、安倍を祭り上げなければならない日本会議の特別な事情が窺われる。

「唯一無二のアイコン」

 なぜ日本会議の面々はここまで安倍に拘るのか。月刊誌「選択」(本年10月号)に掲載された「安倍喪失で『日本会議』の漂流」と題する記事は次のように分析する。
 「理念や理論に体系がなく、明確なリーダーもおらず、時々の政策課題ごとに『会』を作り、署名・集会・地方議会での決議・中央政界への提言を繰り返す日本会議の運動スタイルは、拡散しても求心力が弱いため、シンボル的な存在が欠かせない。安倍氏は唯一無二のアイコンだった。代わりが務まるスターは二度と現れないだろう。安倍氏の喪失は日本会議衰退の始まりを予感させる」と。
 全く以て同意だが、安倍が唯一無二のアイコンであり、その代わりが務まるスターが二度と現れないと考察する理由が省かれているため、少しく補足しておく。
 日本会議の前身団体「日本を守る会」の頃から団体の中核を担っていた邪教生長の家(教祖は谷口雅春)は昭和48年に信者向けのパンフレット「神国への構想 生長の家青年会の任務とその課題」を出版したが、そこには「正統憲法明治憲法)復元を克ち獲らなければならないが、そのためには復憲の大義に、自己生命を捨て得る内閣総理大臣の出現(中略)しなければならない」と記載されているという。
 そして教祖の谷口は〝安倍晋太郎(晋三の父)こそ、自分たちと考えが近い理想的な政治家〟と目をつけ、谷口の意を受けた信者たち(自民党参院議員・衛藤晟一など)は晋太郎に近付き、同人を総理大臣にしようと蠢いた。
 しかし晋太郎が総理大臣になることはなかった。そこで彼らは、谷口が期待を寄せた晋太郎の息子であり後継者の晋三を支えるようになり、ついに同人を「復憲の大義に、自己生命を捨て得る内閣総理大臣」に仕立て上げたのである。

運命共同体

 実際「日本を守る会」の事務局で実務を担当し、日本会議の源流を作ったとされる村上正邦(元自民党参院議員)は次のように述べている。
 「日本会議安倍晋三を支えているのは必然的なんですよ。安倍晋太郎を総理にするための布陣が全て、安倍晋三を総理にするための布陣になったということです
 「日本会議はあくまでも安倍あってのものなんですよ。だから、安倍が総理をやめれば、日本会議はガタガタになるんですよ」と(菅野完「日本会議をめぐる四つの対話」)。
 また日本会議大阪の役員を務めていた籠池泰典森友学園元理事長)は著書「国策不捜査」で「日本会議は、安倍さんが1993年に政界デビューした当初から、『この男をかついで憲法改正を実現させる』と考えていた……日本会議系の人間にとって、この人は他の政治家とは違う存在なのだ」「日本会議憲法改正を)何とか安倍政権の間に実現しなければ、その先は最早、不可能だと考えている……日本会議にとって、組織の存亡を懸けた最後の戦いが始まっている」と記している。
 こうして見れば、日本会議にとって安倍晋三は〝余人を以て代え難し〟の存在であったことがよく解ろう。まさに安倍と日本会議は〝運命共同体〟だったのである。

永遠に潰えた「神国日本」の野望

 しかし安倍は本年7月、浅井先生の62度にわたる諫暁を無視し続け、体調不良を理由に二度も辞任しながら、なおも政権の座を狙い「神国日本」に執念を燃やしていたため、諸天の鉄槌が下り横死した。
 浅井先生は「ここに諸天は許さず。彼はついに銃弾に斃れ、その野望は永遠に潰えた」と仰せられたが、先に述べた安倍と日本会議の関係性を踏まえれば「永遠に潰えた」所以がよくわかる。

崩壊始まる

 余談だが、近年は日本会議を構成する団体の内部トラブルが表面化している。日本会議で中核を担っている神社本庁が代表例だ。
 神社本庁は〝神社本庁が所有する土地を不当に安く売却した背任疑惑〟を告発した幹部職員を懲戒解雇としたが、本年4月、最高裁により懲戒処分の無効が確定した。
 また現在、神社本庁の「総長」(代表役員)の地位を巡り、鷹司尚武統理(日本会議顧問)が指名した新総長と退任を拒絶する田中恆清前総長(日本会議副会長)が法廷でガチンコで争うなど極めて深刻な内部分裂に陥っている。
 そうした混沌とした状況の中、日本会議にとって「シンボル的存在」「唯一無二のアイコン」だった安倍が銃弾に斃れてしまったのだ。今や日本会議の内部が目も当てられないほどガタガタの状態であることは想像に難くない。
 今後、安倍を喪った日本会議は「馬糞の川流れ」よろしく雲散霧消するであろう。(天皷)