世相閻魔帳

顕正新聞のコラム「世相閻魔帳」

亡国の政治家・安倍晋三の神格化という異常

世相閻魔帳80「顕正新聞」令和5年8月5日号

 亡国の政治家・安倍晋三が白昼堂々と銃撃され横死してから一年が経過した。
 この間、岸田文雄首相が安倍の「国葬」を強行したり、安倍の御用メディアや元側近が「安倍晋三回顧録」なるプロパガンダ本を出版したりしたが、その目的はいずれも安倍の悪政を隠蔽・虚飾・改ざんして美化することにあろう。
 しかし安倍シンパがそのような小細工を懸命に弄したところで、お友達のレイプ犯を不起訴処分にできる程に警察権力等を手懐け、また権力監視を使命とするメディアに異常な圧力をかけて骨抜きにさせた安倍が、日本の統治制度、経済・財政・金融を破壊し、日本の亡国を決定づけたことは厳然たる事実だ。
 安倍は「政治家失格」、否「人間失格」と評する以外にない。
 現在、欧米の中央銀行がインフレ抑制のために果敢に利上げを行う中、日本だけがマイナス金利政策を変更しない(正確には〝できない〟)ゆえに円安が進んで物価高となっているが、市井の人々の生活苦はアベノミクスによる弊害だ。
 しかるに後述するとおり、安倍の死後、安倍をバックアップして憲法改正を成し遂げて「神国日本」の実現を目論んでいた日本最大の極右団体「日本会議」やその界隈では、安倍を神格化せんと蠢動しているから唖然とする。
 かかる目論見がいかにバカげているか、愚蒙なアベ信者でも理解できるよう簡単に安倍の悪行等を振り返る。

統一教会総裁を絶賛

 そもそも安倍が殺害されたのは、安倍が「日本はすべての物資を収拾して本然(自然)の夫であるアダム国家・韓国に捧げなければならない」との妄説を吐く反日・侮日思想の文鮮明が韓国で立ち上げた反社会的邪教集団「統一教会」(現・世界平和統一家庭連合)と祖父の代から密接な繋がりを有し、互いに利用し合う関係にあったからだ(詳細は「顕正新聞」令和4年9月5日号掲載の本コラムを参照)。
 安倍は令和3年9月12日、統一教会のダミー団体(UPF)が韓国で開催した集会にビデオメッセージを寄せ、「今日に至るまでUPFと共に世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁を始め皆様に敬意を表します」などとへつらい、韓鶴子文鮮明の妻)を絶賛した。
 統一教会に家庭を崩壊させられた山上徹也容疑者はかかる事実を知り、「(安倍は)絶対に殺さなければいけない」との思いに至り銃撃を実行したと言われている。
 言わずもがな、未だ政界に大きな影響力を有していた元首相の安倍が日本を食い物にする反社会的邪教集団の総裁に敬意を表することは、その反社会的行為に〝お墨付き〟を与えると同時に、〝統一教会は日本の元首相が敬意を表するほど素晴らしい団体〟と信者を誤信させ、統一教会が信者からカネを毟り取りやすくする極めて悪質な所為であり、断じて許されない。

拉致問題を巧みに利用

 しかも統一教会は日本人から収奪したカネを、無辜の日本人を拉致して本人とその家族を絶望の淵に落とし、現在も日本に向けてミサイルの発射を繰り返す犯罪国家・北朝鮮に送金していた。安倍がこのことを知らなかったとは考え難い。
 安倍は「拉致問題安倍内閣の最重要課題」などと嘯き、北朝鮮による拉致問題に取り組んでいるかのようなパフォーマンスを演じていたが、真に拉致問題を解決する意思が安倍にあったならば、北朝鮮とただならぬ関係にある統一教会と昵懇になったり、総裁の韓鶴子に敬意を表したりするはずがない。
 かく見れば、元拉致被害者家族連絡会事務局長の蓮池透氏が著書「拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々」の中で、「拉致問題を最も巧みに利用した国会議員は、やはり安倍晋三氏だと思っている。拉致問題を梃にして総理大臣にまで上り詰めた」などと辛辣に記載していることにも合点がいく。
 結局のところ、安倍は己の人気取りのために、身を引き裂かれる思いで拉致問題に取り組んでいる被害者家族等を利用していただけ。何とも冷酷非道な輩だ。

森友事件・桜問題

 安倍の冷酷非道さが最も際立ったのが「森友事件」だ。
 安倍が国会で「私や妻が、もし小学校の設立や国有地払い下げに関与していたら、総理大臣はもとより国会議員も辞任する」と答弁した直後より、財務省で公文書の改ざんが行われ、安倍と妻の昭恵、そして日本会議に関する記述等が悉く削除された。
 そして不憫にも、この改ざん作業を強いられた近畿財務局の赤木俊夫氏は自責の念に耐えかねて自殺してしまった。
 だが安倍は悔やみの一言を述べるでもなく、回顧録の中で「正直、改竄せずにそのまま決裁文書を公表してくれれば、妻が値引きに関わっていなかったことは明らかだし、私もあらぬ疑いをかけられずに済んだ」「私は密かに疑っているのですが、森友学園の国有地売却問題は、私の足を掬うための財務省の策略の可能性がゼロではない」などといけしゃあしゃあと捲し立てる有様だ。
 「桜を見る会」の前夜祭問題でも、安倍は〝秘書が勝手に事務所のカネで補てんした〟などとウソをつき、公設第一秘書の配川博之に全責任を擦り付けた(配川は政治資金規正法違反〈不記載〉の罪で略式起訴され、罰金100万円を命じられた)。これほどゲスな人間はそうそういないだろう。

アベ政治は大失敗

 その他、安倍政権の政策の一丁目一番地たる「アベノミクス」は大失敗に終わり、すでに日本の財政破綻は不可避となってしまった。
 「北方領土問題」においても、功名心に駆られた安倍はロシアのプーチン大統領に媚びて約3000億円の経済支援を約束し、「君と僕は、同じ未来を見ている」などと気色悪いポエムまで披露するも虚しく、最終的にはプーチン北方領土を完全に分捕られ、将来返還される可能性をほぼゼロにしてしまった。
 ところが安倍はかかる大失態を微塵も反省せず、回顧録の中では尖閣諸島に事寄せて「(領土は)いったん占領されたら、いくら交渉したって返還は難しくなりますから」とヌケヌケと述べている。

「神国日本」を画策

 何より「神国日本」を画策したことは仏法上の重大な失だ。
 日本国は全人類をお救い下さる御本仏日蓮大聖人が御出現あそばされた本国であり、本門の三大秘法広宣流布の根本の妙国である。しかるに安倍は「仏は主君、神は所従」を取り違えて、神を主と崇め、御本仏日蓮大聖人を無視・軽賎した。これが最大の悪政である。

安倍の神格化を目論む

 さて冒頭でも述べたが、日本最大の極右団体「日本会議」やその界隈においては、あろうことか安倍を「日本の神」として祀り上げようと画策している節がある。
 日本会議の機関誌「日本の息吹」(令和4年9・10月合併号)には吐き気を催すほど気持ち悪い次のような追悼文が多数掲載されている。参考までに引用する。
 「あなたはいま、私たちのゆく道を指し示す神様のような存在になられた気がいたします。これからの日本のため、どうかこれからも私たちに力と勇気をお与えください。いつの日か安倍晋三神社ができた折には必ずお参りさせていただきます
 「安倍晋三元総理の現身は幽身となりしも、その精神は消ゆることなく、我が国を護られ私共を力強く導かれるであろう
 「安倍氏御自身は肉体の束縛を解かれて高い清らかな世界に昇られて天翔けり国翔けり、日本を護ってくださっていると思います
 「今はただ、安倍元総理による天界からの日本国のご守護と私どもの改憲運動のお導きを願い、朝晩祈り続けている毎日である」等々。

櫻井よしこの妄言

 また日本会議の旗振り役で安倍と親密だった櫻井よしこも、令和5年7月6日に出版した著書「安倍晋三が生きた日本史」で次のように記している。
 「私には安倍総理が倭建命に重なって見える。安倍総理が取り戻そうとした本当の日本の姿は古事記の中に神々の物語として記されている。……日本国のために働き命を捧げた全ての人々はいま、日本という国の大きな生命と融合して、日本国の進む道を指し示す力となっている。安倍総理の命も想いもそのなかに入り、強い力で日本を導いて下さるだろう。日本国の生命ともなって、次の、そのまた次の世代へと受け継がれ、生き続けていく」と。
 もはやドン引きする他ないが、安倍政権にとって不都合な事実には一切触れず、奇矯で噴飯物の妄想・妄言を廉恥もなく公表できる櫻井は、「ジャーナリスト」よりも「オカルト作家」の肩書がピッタリだ。
 その他、安倍の国葬当日に「安倍晋三は日本の神となった!」「人としての安倍さんはおわり今日から日本を護る神として安倍晋三は生きる」などと投稿している輩もいた。俄に信じがたい話だが、こうした狂信的なアベ信者は少なくない。

現実を直視せよ

 まとめると、安倍は「日本はすべての物資を収拾して本然の夫であるアダム国家・韓国に捧げなければならない」との教義を掲げる統一教会の総裁に敬意を表する反日の輩であり、総理大臣に上り詰めるために「拉致問題」を利用し、自身の不用意な答弁によって自殺者が出ても悔やみの一言すら述べず、自らが負うべき刑事責任を平然と秘書に擦り付ける冷酷非道な輩であり、しかも日本の財政破綻を決定づけた挙句、日本の領土をロシアに〝献上〟するような国賊売国奴だ。
 ことに「仏は主君、神は所従」の道理を取り違えて、神を主と崇め、御本仏日蓮大聖人を無視・軽賎して「神国日本」を作らんとする仏法上の許されざる謗法まで安倍は犯した。
 かような輩を「日本の神」として神格化しようとするなど正気の沙汰ではない。それを目論む異常な輩どもに阿って、政権維持のために安倍の敷いた路線の上を忠実に走るだけの岸田首相も余りに情けない。
 暗愚なアベ信者たちは、安倍が売国奴国賊・冷酷非道な「亡国の政治家」であった現実を直視すべきである。(天皷)