プーチンに佞媚な安倍の屈辱外交

世相閻魔帳㉚「顕正新聞」令和4年3月5日号

 本年2月24日、安倍晋三元首相は自民党本部で開かれた会合でロシアがウクライナに侵攻したことにつき「戦後私たちが作ってきた国際秩序に対する深刻な挑戦であり、断じて許すわけにはいかない」と発言し、G7首脳によるテレビ会議を念頭に「しっかりこの事態に対する対応や制裁について議論されることを期待する」とも述べたが、手のひら返しと言わざるを得ない。
 と言うのも、安倍は岸田文雄首相がウラジーミル・プーチン露大統領と17日に電話会談を行うに先立ち、「あまり厳しいことを言わないように」などと岸田に弱腰な助言をしていたからだ。
 また、27日にテレビ番組に出演した安倍は「プーチンは米国に基本的な不信感がある。NATOを拡大しないはずだったのに拡大したという不信感の中で、領土的野心ではなくロシアの権益の防衛・安全の確保という観点から行動を起こしている」と、「それを私は正当化するわけではない」などと言いながらも、ウクライナを侵攻したプーチンを擁護してみせたというのだからクラクラする。
 大体、首相在任中はプーチンに完全に手玉に取られ、カネと北方領土を分捕られるという大失態を犯した安倍がウクライナ問題にとやかく口を挟む余地などないし、岸田の軍師を気取る資格など毛頭無い。
 以下、北方領土を巡る安倍の〝屈辱的外交〟を総括する。

プーチンに媚びる安倍

 北方領土の軍事要塞化を進めるプーチンには、北方領土を返還する気も日本と交渉する気も微塵も無く、ゆえに安倍との交渉の席には累計で5時間以上も遅刻している。「遅刻魔」で有名なプーチンだが、ここまで待ちぼうけを食らった宰相は世界でも安倍だけだろう。
 しかし功名心に浮足立つ安倍は〝プーチンに諂えば北方領土を返還してもらえる〟との大甘な見通しを立て、北方領土問題を「私とプーチン大統領の間で終わらせる」などと宣い、さながら餌を欲しがる飼い犬のごとくプーチンに媚びを売り続けた。
 例えば平成26年にロシアのソチで開催された冬季五輪では、アメリカをはじめとする欧米主要国の大半がロシアの人権問題を非難して開会式参加を見送る中、安倍は中国の習近平国家主席らと共にノコノコと開会式に参加し、プーチンに忠犬ぶりをアピールした。
 また、ソチ冬季五輪の閉幕直後、ロシアがウクライナ南部のクリミア半島を強制的に併合したことに対して世界各国がロシアへの経済制裁を科した際、これに追従する形で安倍も申し訳程度の経済制裁を科す一方、平成28年には北方領土共同開発の名目でロシアに約3000億円もの巨額な経済支援を打ち出すというチグハグな行動に及んだ。

老獪狡猾なプーチン

 しかしソ連のスパイ組織「KGB」出身で海千山千のプーチンにとって、安倍はようやく言葉で感情表現ができるようになった幼児と大差ない。実際、安倍は終始プーチンに翻弄され続け、見事にその術中にはまってしまった。
 その最たる例が、平成30年9月にプーチン習近平や各国マスコミが居並ぶ公の場で安倍に放った「一切の前提条件を抜きにして年末までに平和条約を結ぼう」との発言だ。
 従前、日本とロシアの間では「平和条約は北方四島の領土問題を解決してから」というのが交渉時の暗黙の前提認識だったが、それをプーチンは唐突にひっくり返してみせたのだ。条件無しで平和条約締結となれば、北方領土返還要求の全面放棄になってしまう。さすがの安倍も直ちにプーチンに反論すると思われた。
 しかし、あろうことか安倍は当惑したような薄ら笑いを浮かべただけで、公の場で日本を舐めきった発言をしたプーチンに対し、何ら反論しなかったのだ。一国の総理大臣としてあまりに無責任、極めて屈辱的な大失態という他ない。
 それ以降、安倍は焦って迷走し始め、不当に略奪された北方四島全てではなく歯舞諸島色丹島の二島だけの返還を求める方針に突然変更したり、毎年開催される「北方領土返還要求全国大会」の挨拶で、過去に使っていた「北方四島の帰属の問題を解決して、平和条約を締結する」と言う表現を除外したりと、より一層プーチンに媚びまくった。
 殊に、安倍がプーチンと27回目の会談に臨んだ際、〝日本もロシアを信じるから、ロシアも日本のことを信じて両国の協力を進めよう〟などと強調した上で
 「ウラジーミル。君と僕は、同じ未来を見ている。行きましょう。ロシアの若人のために。そして、日本の未来を担う人々のために。ゴールまで、ウラジーミル、2人の力で、駆けて、駆け、駆け抜けようではありませんか」
 と蕁麻疹が出てきそうな気色悪いポエムを披露したことには、怒りを通り越して呆れる他なかった。こんなポエムに冷酷非道なプーチンが心を打たれ、北方領土を返還してくれるとでも考えたのか。バカも休み休みにしてほしい。
 こうした安倍の諂いも虚しく、最終的にロシアは、令和2年7月、安倍を嘲笑うかのように憲法を改正し、北方領土を絶対に返還せず、今後一切日本との交渉にも応じないことを決定した。狡猾なプーチンは軍事力を行使することなく、無能な安倍が首相を務める日本からあっさりとカネと領土を分捕ったのだ。

屈辱的外交

 北方領土が日本固有の領土であることは1855年の日ロ通好条約で確定している。ところがロシアの前身であるソ連の首相スターリンは、昭和20年の敗戦直前に日本の敗北を見越して漁夫の利を得ようと日ソ不可侵条約を無視して突如、満州樺太・千島に攻め込み、終戦13日後には北方四島を略奪してそのまま不法占拠した。これが今に至るまで続いているのだ。
 仮にも日本の首相であれば、安倍は侵奪者であるロシアのプーチンに尻尾を振るのではなく、歴史の真実と正しい道理に基づいて堂々と日本の立場を表明し、強気の姿勢で交渉に臨まなければならなかった。当時、浅井先生は次のように指導下さっている。
 「ソ連国際法を無視して、武装解除して捕虜にした日本軍の兵士約70万人を、貨物列車でシベリアの奥地に運び、奴隷のように酷使した。かくて極寒と飢えと病気により、10万人が死亡した。日本のふるさとを瞼に浮かべながら、10万人が無念の死を遂げたのである。
 安倍首相には、この鬼哭啾啾の声が聞こえないのか。
 このような非道・暴虐が許されていいはずがない。安倍首相はなぜ毅然とこの事実をプーチンに伝え、道理を世界に向けて発信しないのか」と。
 しかるに、日本のメディアは屈辱的外交に終始して大失態を犯した安倍のことを「外交の安倍」などと持ち上げ、岸田も何かと安倍に意見を求める為体。救い難いほどの無能だ。
 ちなみに、岸田はロシアのウクライナ侵攻が報じられた後も暢気に参院予算委で予定どおり審議を継続。見かねた野党議員から「国家安全保障会議(NSC)を今すぐに開くべきではないか」と促されてハッとし、ようやく開催する有様だった。要は、岸田の頭の中は目先のことだけで、激変する客観情勢への危機感など全く無いのだ。とても首相の器ではない。
 いずれにせよ、プーチンのことを「ウラジーミル」とファーストネームで繰り返し呼びかけ、地元山口にも招待して個人的な信頼関係を築きあげたと強調し、「君と僕は、同じ未来を見ている」とまで宣った安倍は、その蜜月を活かしてプーチンに電話の一本でも入れたらどうか。
 それすらできないのは、安倍がペテン政治家たる何よりの証拠だ。国を思う志など欠片も無い売国奴は早く政界から去って蟄居せよ。(天皷)