世相閻魔帳

顕正新聞のコラム「世相閻魔帳」

「過去の人」になりつつある安倍晋三

世相閻魔帳㉓「顕正新聞」令和3年12月15・25日号

 本年十一月十八日、安倍晋三元首相は自民党の清和会(安倍派)の派閥会長に就任後、党本部で行われた初の総会に無断欠席したという。どうやら派閥の中に安倍の会長就任を快く思わない者が大勢いることを知り、幼児のように拗ねてしまったらしい。
 「顕正新聞」十一月二五日号の本コラムでも言及したとおり、安倍は必死に地元で本年十月末の衆院選を戦ったが、前回の選挙から得票数は2万4000票も減らし、得票率も低下するという地元での不人気ぶりを露呈してしまった。
 また、安倍は全国約七〇カ所で候補者の応援にも入ったが、イチオシの元秘書を含め、その多くが小選挙区で敗れた。安倍の求心力の著しい低下を物語るものだ。
 実は、安倍は衆院選に先立ち、動画共有サイトYouTubeに「あべ晋三チャンネル」というチャンネルを開設した。よほど今回の選挙が不安だったのだろう。
 最初に投稿した動画で安倍は「私の思いを、政策を、理念を語っていきたいと思います」と宣言。その後、炎上を恐れて視聴者が動画にコメントできないよう設定した上で、空虚な主張を披露する動画を幾つか投稿しているが、中には新幹線での移動中に食事をとろうとする安倍が車内でニヤニヤしながらカツ丼や鰻丼を視聴者に見せつけるだけの意味不明な動画もあった。
 年端もいかない若者ならまだしも、一国の宰相だった者の所為にしては軽すぎる。頭の中が軽いからだろう。
 何より、日本を亡国に誘う悪政を敷いた安倍が、動画の随所でポーズをとりながら、「この国を守る!」と発言していることには〝どの口が言う〟と唖然とした。冗談は素っ頓狂な顔だけにしてほしい。
 とまれ、安倍の涙ぐましい努力の甲斐も虚しく選挙は散々な結果、YouTubeチャンネルの登録者数も、長いこと首相を務めて知名度が高いわりには今ひとつ伸びていない。「NHKをぶっ壊す」と主張する泡沫政党を率いる立花孝志(NHK党党首)や安倍をヨイショしていた御用言論人たちよりも少ないとはお笑いだ。すでに安倍が「過去の人」と烙印を押されたに等しい。

アベ友の下劣さ

 さて、現在、日本大学の附属病院の医療機器調達をめぐる「背任事件」や同大学理事長・田中英寿容疑者の「脱税事件」等が世間を騒がせているが、背任事件で逮捕された医療法人「錦秀会」前理事長・籔本雅巳容疑者は安倍のお友達(アベ友)だという。
 藪本容疑者は日本有数の医療グループのトップを務めていた人物で、医療界隈では「大阪医療界の寵児」として知られていたそうだが、その人間性は下劣そのもの。
 「文春オンライン」の「ホステスが証言『一晩で1千万円』日大背任事件『錦秀会』籔本容疑者のえげつない飲み方」との記事には、藪本の下劣な人間性を窺わせる関係者の証言が掲載されていた。いわく
 「籔本さんの飲み方はえらい汚くてなぁ。ホステスのハイヒールを脱がして、そこにシャンパン注いで飲んだりすんねん」
 「籔ちゃんには着物をビリビリに破かれたり、襟首から背中に『オエッ』とひと口ゲロを吐かれたりもしたわね……」と。
 さらに、本コラムにはとても掲載できないが、藪本容疑者は常人では考えられない行為を平然とやってのける破廉恥漢だそうだ。
 かような下劣極まる輩がなんと安倍の「ゴルフ仲間」で、当時の首相動静にもたびたび登場しており、安倍は藪本容疑者のことを「藪ちゃん」と親しく呼んでいたというから驚きだ。
 実際「日刊ゲンダイDIGITAL」の「独占入手! 安倍元首相と日大背任事件・籔本雅巳容疑者の〝親密写真〟」との記事には、当時首相だった安倍が藪本容疑者と思しきキャラクターがプリントされたTシャツを着て、藪本本人と仲良く肩を組んで満面の笑みを浮かべている写真が掲載されているが、両者が非常に親密な仲であることが窺われる。
 それにしても、藪本容疑者といい、加計学園理事長の加計孝太郎といい、伊藤詩織さんに対するレイプ疑惑がある元TBSワシントン支局長の山口敬之といい、挙げたらキリがないほどアベ友にはロクな輩がいない。
 「類は友を呼ぶ」とはよく言ったもので、安倍もまた連中と似た人間性の持ち主ということなのだろう。
 ちなみに、脱税事件の方で逮捕された田中容疑者は、日大理事長という立場にありながら、日本最大規模の特定抗争指定暴力団山口組」の六代目組長・司忍や指定暴力団住吉会」の元会長・福田晴瞭と昵懇の間柄という札付きの人物だ。
 その田中容疑者は逮捕前、検察に対して「俺が逮捕されるようなことがあれば、今まで政治家に渡した裏金のことも全部ぶちまけてやる」などと不穏な発言をしていたという。
 いったい何が飛び出してくるのかは分からないが、洗いざらい暴露してもらいたいものだ。

アベノマスク

 余談だが、昨年、安倍が総額約500億円もの税金を投入して発注した約2億8700万枚もの「アベノマスク」(布マスク)だが、実はその約3割近い8200万枚(約115億円分)が未だ除湿器完備のご立派な環境の倉庫で保管されたままだそうだ。その保管費用は既に6億円を超え、今後も増加する見込みだという。何とも腹立たしい話だ。
 この〝無用の長物〟の代名詞とも言うべきアベノマスク配布に関連し、真偽は定かではないが、あるジャーナリストは藪本と田中、そして安倍がリベートを受けていた疑惑が浮上していた旨を報じている。
 いずれにせよ、安倍は森友・加計・桜・河井問題等の疑惑に未だまみれている。かような輩は早急に政界から追放しなければならない。(天皷)